道具としての”コードヴァン”

道具としての”コードヴァン”

コードヴァンと聞くと、高級ドレスシューズを思い浮かべてしまうかもしれません。

深い光沢、独特の艶、希少性。

しかし、その歴史を辿ると、コードヴァンは決して”見せるための革”ではありませんでした。

むしろアメリカにおいては、過酷な環境で履かれる“実用品”として高く評価されていた素材なのです。

20世紀前半のアメリカでは、現在のように高性能な防水素材が存在しなかった時代、人々は天然素材に機能性を求めていました。

コードヴァンは馬の臀部に存在する非常に高密度な繊維層から作られます。

その緻密な繊維構造は、

・ 水分を吸い込みにくい
・型崩れしにくい
・屈曲に強い
・長期間の使用に耐える

という特性を生み出します。

そのため当時のコードヴァンは、単なる高級素材ではなく、厳しい環境下で働く人々やアウトドアシーンにおいても信頼される革でした。

実際は、”雨にも雪にも強い実用品の革”として重宝されていたのです。

しかし戦後になると状況は大きく変わります。

牛革の品質向上と大量生産技術の発展により、馬革は次第に姿を消していきました。

かつては多くのタンナーが生産していたコードヴァンも、その手間とコストの高さから徐々に淘汰されていきます。

そんな中、今日までコードヴァンを作り続けてきた数少ない存在が、シカゴのタンナーである"Horween Leather Company"です。

1905年創業のHorween社は、アメリカを代表する老舗タンナーとして知られています。

コードヴァンの生産には、およそ6ヶ月にも及ぶ膨大な工程が必要です。

原皮の選別から植物タンニンによる鞣し、油分の浸透、乾燥、染色、磨き上げ。

一枚のシェルコードヴァンが完成するまでには、熟練した職人の手仕事と長い時間が費やされます。

だからこそ”Horween”のコードヴァンには、他の革にはない独特の魅力があります。

深みのある色合い。

履き込むほどに増す独特の光沢。

そして何十年もの着用に耐える圧倒的な耐久性。

それは単なる高級素材ではなく、アメリカのものづくりの歴史そのものと言えるでしょう。

コードヴァンの需要が減少し、多くのメーカーがこの素材から離れていった時代。

ALDENは一貫してHorweenのコードヴァンを使い続けました。

丈夫であり、修理を重ねながら長く履け、そして履くほどに美しく育つこと。

コードヴァンを守ったのはHorweenであり、その価値を信じ続けたのがALDENだったのです。

現代ではコードヴァンは特別な革として語られます。

しかしその本質は今も変わりません。

過酷な環境で履かれるために生まれ、長く使うために作られた革。

履き込むことで完成していくその姿こそ、本当の意味でのエレガンスなのかもしれません。

写真のANATOMICA BY ALDENは、オーナー山内がANATOMICA PARISで購入し約20年以上愛用している一足です。

 #8カラーの色味、履き皺、履き込めば履き込む程に美しつくなるALDENのCORDOVAN LEATHER。

モディファイドラストの快適な歩行に加えて、耐久性の高いコードヴァンレザーの組み合わせは、一度履いてしまうと手放せなくなってしまう一足なのです。

ANATOMICA BY ALDEN
PLAIN TOE OX 
CORDOVAN #8 COLOR 

MODIFIED LAST 


コードヴァンレザーを用いたANATOMICA BY ALDENは、中々入荷がありませんが、2014年にオーダーしていた"PLAIN TOE OX"がようやく入荷いたしました。

12年越しでの入荷です。

是非この機会にご覧になってください。

ANATOMICA KYOTO
宅見